函館司法書士会

(4)ア本件において,原告らは,第3に,本件事業が,本件施設の建設及び操 業によって,本件施設の周辺住民の生命身体の安全,すなわち,身体権的 人格権及び平穏生活権的人格権を脅かす違法な事業であることを理由に, 本件支出等がいずれも違法である旨主張する(以下,この主張を「本件主 張3」という。)。
イ(ア) 前示のとおり,エコセメント化施設として本件施設を設置したのは, 日野市ではなく,一部事務組合である本件組合であり,本件施設の概要 及び本件施設において営む本件事業の内容を決定したのは,日野市では なく,本件組合である。
そうすると,本件主張3は,要するに,一部事 務組合である本件組合が設置することを決めた本件施設において営む本 件事業が,本件施設の建設及び操業によって,本件施設の周辺住民の生 命身体の安全,すなわち,身体権的人格権及び平穏生活権的人格権を脅 かす点において,本件組合がエコセメント化施設として本件事業を営む 本件施設を設置することを決定したことが違法であるから,本件支出等 がいずれも財務会計法規に違反して違法である旨の主張であると解する ことができる。
(イ) そこで,本件組合がエコセメント化施設として本件事業を営む本件 施設を設置することを決定したことが著しく合理性を欠き,そのため上 記事務の執行のために必要な財務会計上の措置に予算執行の適正確保の 見地から看過し得ない瑕疵が存すると認められるか否かについて検討す る。
原告らは,多摩地域25市1町から集めた焼却灰及び飛灰には重金 属類,極めて有害性の高い化学物質及びダイオキシン類が大量に含まれ ており,本件施設は多摩地域25市1町から集めた焼却灰等の全部を原 料として投入する予定であるから,大量の重金属類,極めて有害性の高 い化学物質及びダイオキシン類が本件施設に持ち込まれることになる, ?廃棄物の焼却残さの焼成に至るまでの過程及びその後の過程において, 重金属類(例えば,ヒ素,クロム,ニッケル,鉛,カドミウム,アンチ モン,マンガン,水銀など),極めて有害性の高い化学物質(塩素化芳 香族化合物(ポリ塩化フェノール,塩化ベンゼン及び塩化ナフタリン), 脂肪族炭化水素,多核芳香族炭化水素,ニトロ多核芳香族炭化水素), ダイオキシン類(PCDDS,PCDFS,CO-PCBS及び臭素化 ダイオキシン類(臭素化ダイオキシン,臭素化ジベンゾフラン,臭素化 塩素化ダイオキシン及び臭素化塩素化ジベンゾフラン)),窒素化合物 及び塩化水素などの有害ガス並びに粉じんなどの粒子状物質(以下,以 上を総称して「重金属類等」という。)が飛散し,又は発生するが,重 金属類等を除去するために設けられたバグフィルタ,消石灰及び粉末活 性炭の吹き込み並びに脱硝装置は,その効果が限局的なもので十分でな いので,重金属類等を本件施設の外に全く排出させないようにすること は困難である上,?排ガスを200度にまで急速に冷却してダイオキシ ン類の再合成を防ごうとしようとしているが,200度ではダイオキシ ン類の再合成を防ぐのに十分ではない,?塩素化芳香族炭化水素,脂肪 族炭化水素,多核芳香族炭化水素,ニトロ多核芳香族炭化水素,臭素化 ダイオキシン類,ヒ素,クロム,鉛,水銀などは,極めて重大な毒性を 有するにもかかわらず,法的な排出規制がないので,その排出を抑制さ れることなく,周辺環境に排出される,?本件施設から排出される重金 属類等によって本件施設の周辺に住む住民には重大な健康被害が惹起さ れるおそれが大きい旨主張し,証拠(甲31,32の1及び2,33か ら43まで,44の1及び2,45から50まで,52の1から6まで, 53から73まで)中には上記主張に沿う部分がある。
しかし,本件施設のプラント設備の概要,本件組合が本件施設におい て本件事業を実施するに際して行おうとしている公害防止対策,並びに 本件施設において本件事業を実施することが環境に及ぼす影響について の予測及び評価は,平成14年7月に策定された本件事業計画及び同1 5年1月に取りまとめられた環境影響評価において明らかにされたとお りであり,それぞれの内容は,前記認定のとおりであって,それぞれの 内容からすると,本件施設の建設及び操業によって,本件施設から人体 に有害な窒素酸化物,硫黄酸化物,ばいじん,水銀,ダイオキシン類等 (以下,以上を総称して「窒素酸化物等」という。)が排出されるおそ れがあり,騒音,振動及び悪臭(以下,以上を総称して「騒音等」とい う。

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