また,前記認定事実のとおり,エコセメント中に残存している重金
属類も,焼成によって生成した鉱物の結晶構造に取り込まれることに
より溶出が防止され,その結果,将来,エコセメントで造られた構造
物を廃棄するときでも,重金属類の溶出が防止される。
また,前示のとおり,本件推進会議が焼却残さのエコセメント化を
多摩地域の全市町村で取り組んでいくことを再確認した同11年2月
当時において,α処分場の延命を図るためにエコセメント事業に代え
て採用すべき適当な方策が他にあったことを認めることはできないこ
とからすると,仮に,原告らが主張するように,本件組合が設置しよ
うとするエコセメント化施設で生産されるエコセメントの販売価格を
ポルトランドセメントの販売価格に近似するものとするために多額の
税金を投入しなければならなくなるとしても,その場合に比較検討す
べきであるのは,エコセメント化施設の開設及び運営に要する費用と
エコセメントの販売価格をポルトランドセメントの販売価格に近似す
るものとするのに要する税金との合計並びにエコセメント化施設の開
設及び運営によってその周辺環境に与える負荷の内容及び程度と,α
処分場の延命を図るためにごみの発生の回避,抑制,再使用及びリサ
イクルの施策を展開するのに要する費用とα処分場に代わる最終処分
場の開設及び運営に要する費用との合計並びにα処分場に代わる最終
処分場の開設及び運営によってその周辺環境に与える負荷の内容及び
程度とであるが,本件全証拠を精査しても,後者の方が前者よりもは
るかに低廉であり,周辺環境に与える負荷もはるかに少ないことを認
めるに足りる証拠はない。
また,前記認定事実のとおり,同8,9年には,ごみの発生の回避,
抑制,再使用及びリサイクルの施策を展開するとともに,焼却灰を資
源化し,最終処分場であるα処分場の延命を図ることが最大の課題で
あり,急務となっていた。
さらに,前示のとおり,同11年2月の時点において,α処分場の
延命を図るためにエコセメント事業に代えて採用すべき適当な方策が
他にあったことを認めることはできず,また,日野市がその当時にご
みの発生の回避,抑制,再使用及びリサイクルの施策に対する十分な
取組をしていれば,α処分場の延命を図るためにエコセメント化施設
の導入という政策を選択する必要はなかったと認めることはできない。
c そうすると,前記aに掲げた点に上記bに掲げた点も加えて総合す
ると,本件施設が従来廃棄物処分場に埋め立てていた焼却灰をエネル
ギーと鉱物という貴重な資源を消費し,かつ,多大な費用をかけて,
再資源化という点からみておよそ役に立たないエコセメントという固
形のごみに転換させるだけの施設であり,循環型社会形成推進基本法
に逆行し,ごみゼロ社会を目指すという方向性に真っ向から反する施
設であるなどということはできない。
d また,エコセメントがその製造の過程における費用支出や環境負荷
に見合うものであるか否かの点については,?エコセメント中には重
金属類が残存すること,?エコセメントの用途が限られていて多摩地
域で生産されるエコセメントの全量を賄うだけの需要を開拓すること
ができないおそれもあり得るものと考えられること,?エコセメント
化施設の開設及び運営に要する費用の具体的な積算もないままエコセ
メント化施設の導入を決定していること,?エコセメント化施設には
技術的に未熟な部分がないではないものと考えられること,?エコセ
メント化施設が,その開設及び運営によって,その周辺環境に相応の
負荷を与えるものであることを勘案しても,エコセメントがその製造
の過程における費用支出や環境負荷に見合うものではないとまでいう
ことはできない。
e そうすると,エコセメントは,いわばごみであり,再資源化とい
う点からみておよそ役に立たないものであり,本件施設は,従来廃棄
物処分場に埋め立てていた焼却灰をエネルギーと鉱物という貴重な資
源を消費し,かつ,多大な費用をかけて固形のごみに転換させるだけ
の施設であり,循環型社会形成推進基本法に逆行し,ごみゼロ社会を
目指すという方向性に真っ向から反する施設であること,?エコセメ
ントがその製造の過程における費用支出や環境負荷に見合うものでは
ないということを認めることはできないから,本件組合がエコセメン
ト化施設として本件事業を営む本件施設を設置することを決定したこ
とが著しく合理性を欠き,そのため上記事務の執行のために必要な財
務会計上の措置に予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が
存すると認めることはできない。
そうすると,本件組合が設置することを決めた本件施設が,上記?
及び?を理由に違法かつ合理性を欠く施設であるという点において,
本件組合がエコセメント化施設として本件事業を営む本件施設を設置
することを決定したことが違法であるということはできないから,そ
の違法を理由に,本件支出等がいずれも財務会計法規に違反して違法
であるということはできない。
(エ) 以上によれば,本件主張2は,理由がない。